「ガンの転移防ぐ抑制ホルモン発見」

心臓から分泌されるホルモンに、がんの転移を抑える働きがあることを、国立循環器病研究センターと大阪大のチームが突き止めた。

副作用の心配がない、がん転移を防ぐ治療法の開発につながると期待される。横浜市で開かれる日本癌(がん)治療学会で26日に発表する。

同センター研究所の寒川(かんがわ)賢治所長らが発見した「心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)」というホルモン。心臓や血管を保護する役割があり、心不全の治療薬に使われている。

チームは、肺がんと心疾患を併発した患者に、がん手術後の不整脈などを予防するためANPを投与すると、がんの再発が少ないことに着目。肺がん患者の再発率は通常、術後2年で20%程度だが、ANPを投与した90人では4人にとどまった。

がん細胞があるマウスを使った実験では、ANPの投与で転移を通常の15~30%に抑えた。一方、ANPが働かないよう遺伝子操作したマウスは、肺や肝臓に転移したがん組織が通常の4~6倍多かった。普通は起こらない心臓への転移もあった。

がん細胞は血液を通じて移動し、血管内皮に潜り込んで転移する。がん患者は抗がん剤や放射線による治療で血管内皮が傷つき、がん細胞が潜り込みやすい。再発の多くは、手術時に血中にがん細胞が流れ出すことによる転移が原因だ。

チームはANPが血管内皮を保護してがん細胞をブロックすると見ており、「様々な種類のがんの転移を抑制できる可能性が高い。来年中に臨床研究を始めたい」としている。

(2012年10月24日 読売新聞)


肺・腸・肝臓・膵臓などあらゆる臓器に転移するガンですが、言われてみれば心臓ガンはないですね。

まだ研究段階とのことですが実用できればこれまで多くの方が命を失ってきたガン患者さんの数が減ると思われます。

先日ノーベル賞をとったIPS細胞など、日本の医療研究は素晴らしいものです。これから更に研究が進んで早く一人でも多くの患者さんが救われることを期待しています。

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